退職する事が決まると書かなければならないのが退職願や退職届です。
どちらも同じように見えますが実は大きな違いがあります。
間違ってしまうと退職を撤回したい時に受け入れられない場合や、会社都合で退職する場合に書き方を誤ると失業給付金の支給が遅れてしまう事もあります。
似ているけどかなり違う、退職願・退職届・辞表の違いと、どんな時にどちらを提出するといいのかについてまとめました。
退職願とは
退職願は「退職を願い出る文書」です。
労働契約の解約を願い出て退職を希望している事を表明している文書なので退職日の変更や、退職を撤回する事も出来ますが、退職を願い出る場合には必ずしも書面の提出が必要ではありません。
退職の希望を会社側に伝えても退職がスムーズに行かない時には退職願を提出しておくと退職の申し入れをした根拠にする事も出来ます。
退職願を提出後に会社が退職を承諾すると退職日の変更や退職の撤回が出来なくなります。
退職届とは
退職届は退職する事の明確な意思表示で、雇用契約を解約する通告なので提出後に退職を撤回することはできません。
民法で労働者は一方的な意思表示によって一定期間の後に会社を退職できると認められていますが、一方的な通告では退職時にトラブルになったり感情的になってしまう事もあります。
円満退社のためには早めの時期に退職願の形で提出したほうがいい場合もあります。
辞表とは
辞表は会社の経営者や役員、公務員が用いるもので、会社を辞めるのではなく役員・役目を辞するという意味の書類になります。
会社員が退職する時には必要ありません。
退職願・退職届どちらを提出する？
基本的に労働者は会社と雇用契約を結んでいます。
退職とはこの雇用契約を終了するという意味になり契約終了には以下のものがあります。
・自主退職
労働者が自主的に退職の意思表示をすること
・合意解約
労働者と会社が合意して労働契約を終了すること
・解雇
会社から一方的に退職するよう言われること
退職を希望しているならまずは上司に相談
退職を希望している場合はいきなり退職願や退職届を提出するのではなく、まず直属の上司に相談の形で口頭で伝えましょう。
それは退職を希望している事の相談もなく、いきなり「退職願」を持ってくる事に嫌悪感を持つ人がいるからです。
退職するかどうか迷っている時点で退職願を提出してしまうと会社に退職の意志があった事が証拠として残ってしまうのも良くないですよね。
上司に退職したい旨を相談して退職する事が決まると、どちらを提出したらいいか指示があるので、その場合は指示に従います。
指示がない場合は「退職願」を提出したほうが印象も柔らかくなりいいでしょう。
退職願・退職届を提出するタイミングは
退職願・退職届は就業規則に記載ある通りにするといいのですが、一般的には直属の上司に退職を希望している日の１～２ヶ月前までの申し出を規定している会社が多いようです。
実際に提出する時は他の社員がいない場所で上司に手渡しますが、就業規則で郵送などの指定がある場合はその通りにします。
会社都合の退職や解雇の場合は必要ないのか？
会社都合では退職願・退職届どちらも必要ないと思っている方やどちらを提出しても問題ないと思っている方など多いようなので確認の為にまとめました。
退職願
退職願は自分から退職を申し出たという書類なので、会社都合による退職や解雇の場合は必要ありません。
もし、会社都合による退職なのに退職願を提出するように言われた場合には注意が必要です。
退職願を提出してしまうと会社都合で退職したのに自己都合の退職と判断されてしまい、すぐに給付されるはずの失業保険の給付が遅れて転職活動にも支障をきたす場合もあります。
失業給付金は離職した人が次の仕事に就くまでの間の生活を支える為に支給されるもので上限はありますが、直近半年間の５～８割が支給されます。
会社側の不認識で、悪意がなく提出を指示された時には「会社都合の場合には提出の必要がない」と説明をして提出しない事を伝えましょう。
退職届
会社都合による退職でも手続き上の理由で提出する場合があるのは退職届です。
ただ、自己都合の場合と書き方が違うので注意して下さい。
会社都合による退社の場合は「貴社の退職勧奨に伴い」という一文を入れます。
これで、会社都合で退職するという意味になりますから、忘れずに記入しましょう。
会社側が退職届の雛形を用意していてその通りに書くと退職理由が「一身上の都合」となっている場合もあります。
このまま提出してしまうと自己都合の退職になってしまいます。
ほとんどの会社は指摘をすると修正してくれますが、中には会社側が退社理由を「一身上の都合により」でなければ受け取らないという場合もあるようです。
その時は内容証明で「退職勧奨に伴い」と書いた退職届を郵送するといいでしょう。
まとめ
数十年前と違い今では転職を一度もした事がない方が少ないのではないでしょうか。
現在の会社を辞める事が決まっていたとしてもスムーズに退社して気持ちよく次の職場に行きたいですよね。
円満退社のためにも退職願や退職届の提出のタイミングを間違わないようにしたいです。
退職の際には会社独自の就業規則がある場合もあるので上司に相談する前に確認しておきましょう。
