毎年冬になると流行するインフルエンザ。インフルエンザには季節性インフルエンザと新型インフルエンザがあるのをご存知ですか?

新型インフルエンザといえば、2009年に流行した新型インフルエンザが記憶に新しいと思います。あの頃は、毎日ニュースでも取り上げられていて恐々としていましたし、不要な外出を控えたり、一時的でしたがマスクが手に入りにくくなりました。待ちに待ったワクチン接種を我が子に受けさせ、安堵したことを思い出します。

今回は、季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違いや、ウイルスの構造、流行しやすい時期や予防策についてご紹介します。

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季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違い

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスが体内で増殖し、発熱やのどの痛み、関節痛などの症状を起こす感染症です。毎年冬になると流行するのが季節性インフルエンザです。

季節性インフルエンザは、毎年12月~3月の気温の低い時期に流行し、A型インフルエンザが2種類(H1N1亜型とH3N2亜型)、B型インフルエンザが2種類(山形系統とビクトリア系統)があります。ほとんどの人がこれまでに従来の季節性インフルエンザに感染したことがあると思いますが、一度かかるとその原因となるウイルスに対する抵抗力が高まります。これを免疫とよびます。毎年おおよそ人口の10~20%ほどが発病し、発熱やのどの痛みなどの症状が続くものの、ほとんどの方が無事に回復します。

一方、新型インフルエンザ過去に一度も流行したことがないインフルエンザウイルスです。いつ発生するかわかりません。従来とは大きく構造の異なるウイルスが突然変異により出現し、ヒトからヒトに感染する能力を持ちます。季節性インフルエンザと異なりほとんどの人が免疫を持っていない為、感染が拡大しやすくなります。流行が短期間中に世界中に拡大し、多数の人が年齢に関係なく感染する状態をパンデミックといいますが、数十年に一度起こっており、季節も冬とは限りません。

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インフルエンザウイルスの構造について

インフルエンザウイルスの粒子表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり、これらは抗原といわれています。HAは感染しようとする細胞に結合し、ウイルスを細胞の中に取り込む為の役割があり、NAは感染した細胞とHAの結合を切断し、複製されたウイルスを細胞から放出させる役割があります。

特にA型インフルエンザのHAは16種類、NAは9種類もあり、これらの組み合わせでH1N1~H16N9の144種類の抗原の異なる亜型が存在します。つまり、A型は種類が非常に多いということです。過去に大流行した新型インフルエンザのほとんどはA型インフルエンザになります。

また、季節性インフルエンザは同じ亜型であっても抗原性が少しずつ変化す為、毎年流行します。その為、ワクチンはそのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせたものが毎年生産されています。

2009年に流行した新型インフルエンザは、A型インフルエンザのH1N1亜型になります。過去に流行したソ連型もH1N1亜型になり、従来の季節性インフルエンザとして存在していましたが、2009年以降姿を消し、現在は2009年新型インフルエンザが季節性インフルエンザとして置き換わっています。1918年にスペインかぜとして世界的流行を起こしたインフルエンザウイルスもこのH1N1亜型の変異株になります。日本国内では1918年~1921年7月までの3年間で人口の約半数が発症し、39万人が死亡したと報告されており、非常に致死率の高いウイルスでした。2009年の新型インフルエンザは従来の季節性インフルエンザと同様に感染力は高いものの、多くの患者は重症に至ることなく回復する傾向にありました。

今後発生する可能性がある新型インフルエンザは、A型インフルエンザのH5N1亜型とH7N9亜型の、いわゆる鳥インフルエンザではないかといわれています。現在のところ、鳥⇨ヒトに感染するという報告はあるものの、ヒト⇨ヒトに感染するという報告はありません。しかし、この鳥インフルエンザウイルスの増殖過程で突然変異を起こしたり、人の細胞内で鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザが交わり、病原性が高く感染力の強いウイルスが生まれる可能性も考えられます。

流行しやすい時期

通常の季節性インフルエンザの流行しやすい時期は、毎年12月~3月にかけてですが、今後発生すると予測される新型インフルエンザの流行時期は不明です。現在も中国などで発生している鳥インフルエンザウイルス(H7N9亜型)は、冬季をピークに患者が発生しているようです。

過去にパンデミックを引き起こしたスペインかぜ(H1N1亜型)は、季節をとわず流行していました。1957年に香港ではじまって東南アジア各地から日本、オーストラリアなど世界各地に広がったアジアかぜ(H2N2亜型)は春頃から流行が始まっています。1968年に香港で大流行した香港かぜ(H3N2亜型)は初夏頃から流行し、9月頃には日本でも流行していました。過去の状況からみても、新型インフルエンザは春や夏でも流行する可能性があります。

新型インフルエンザにかからないための予防策

現時点で新型インフルエンザが発生していないため感染経路はわかりませんが、季節性インフルエンザと同様に、飛沫感染と接触感染で感染するものと思われます。過去にパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスはA型インフルエンザで鳥由来のインフルエンザウイルスでした。対策としては、

1.鳥インフルエンザが流行している地域に旅行する際は、生きた鳥を販売している市場や、飼育場に不用意な訪問を避けること

2.水鳥や渡り鳥の糞や死体に直接触らないこと

3.季節性インフルエンザと同様に、手洗い、のどの乾燥を防ぐ為のうがい、アルコール消毒、人混みではマスク着用などに取り組む

4.抗インフルエンザ ウイルス薬(タミフル)の予防投与をうける

新型インフルエンザのワクチンは、新型インフルエンザが発生しないと製造することができません。かりに新型インフルエンザ発生した場合でも、製造にはおよそ6ヶ月かかります。このため、鳥インフルエンザを元に製造されたプレパンデミックワクチンを接種することで、ある程度の重症化を軽減させるといわれていますが、有効性を過信することはできないそうです。なお、タミフルはインフルエンザの予防に使用できますが、原則として対象者は患者と患者と接触した人になります。また、保険診療として適用されないため、全額自己負担になります。

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まとめ

新型インフルエンザが流行する時期は30年~40年に一度といわれています。2009年に発生しましたのでまだ猶予はありそうですが、過信はできません。

季節性インフルエンザとあわせて、かからないように予防しましょう。タミフルの予防投与については、お近くの医療機関に相談しましょう。

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