膝の裏やふくらはぎがポコポコと膨らんでいたり、青や赤黒い血管が浮き出ていたりという症状を見たことはありませんか?これが静脈瘤です。年配の女性の足によくみられる症状ですが、じつは妊娠中にも起きやすいのです。

静脈瘤は見た目もあまりよくないし、血の流れが悪くなるので、足のだるさは辛いものです。妊婦さんの静脈瘤による足の痛みやだるさは、実は10人に1~2人の割合で感じているそうです。妊娠中は静脈瘤になりやすい条件が揃うことが原因だと言われています。では、産後の静脈瘤の症状や痛み、原因と治療法について調べてみましょう。

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産後の静脈瘤が治らないのは大丈夫?

二人目を出産した後、左脚のふくらはぎに静脈瘤ができてしまいました。夕方になると、ときどき血管が青く浮き出て、痛痒いときに掻いてしまうと内出血して青黒くなります。また、左脚が少しむくんでいるように感じます。妊娠・出産のときには静脈瘤ができる人が多いと聞きましたが、なぜでしょうか。このままにして治るのでしょうか?

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産後の静脈瘤の症状は?

静脈瘤とは、静脈内の血液がたまり、こぶのようにふくらみ、静脈血管が浮き出てきて目立つようになった症状のことをいいます。妊娠初期から兆候が現れる人もおり、膝の裏側からふくらはぎ、太ももにかけて赤紫、青紫色で細い血管が糸状に見えるものや、血管が非常に太くなり、皮膚から突出しているものまであります。ひどくなるなると、だるい・重たい・ピリピリする痛み・熱いなどの症状を伴います。

静脈瘤になると、ひざの裏やふくらはぎなどの血管が浮き出たようにぼこぼこし、素人目で見ても、血管が浮き出ているのが一目でわかることがほとんどです。また血が固まってしまうので、血管の色も濃くなってみえます。

産後の静脈瘤の原因は?

妊娠すると分泌される黄体ホルモンには、赤ちゃんが育つ子宮を柔らかくするだけでなく、血管を硬くする働きがあります。そのため、静脈にある弁の働きも鈍くなり、足に溜まった血液が上の方に戻りにくくなります。これがこぶ状になったものが「静脈瘤」です。

妊娠経過とともに大きくなった子宮によって下半身の血液が大静脈に戻りにくくなると下半身の静脈圧が亢進することや黄体ホルモンの増加によって静脈の血液壁もゆるんできます。その中でも下半身に症状が出るものを「下肢静脈瘤」とよび、肛門周辺、外陰部、膣などに発症するものを「陰部静脈瘤」とよんで区別します。陰部静脈瘤の場合、出産時の会陰切開や破裂で出血することがあるので注意が必要です。

妊娠中はエストロゲンという黄体ホルモンが多量に分泌されるのですが、このエストロゲンは血管を広げて、出産の出血に備えて、血液を固まりやすくする作用があります。つまり、妊娠によって血液量が増えているのに加えて、エストロゲンの分泌量が増加するため、血流が滞りがちになり、その結果として、静脈瘤ができやすくなってしまうのです。しかし、このエストロゲンは妊娠を継続するために大切なホルモンのひとつのため、エストロゲンの増加を抑えることはできません。そのため対処法としては、血行をよくしておくことに限ると言っても良いでしょう。

また、妊娠週数がすすみ、お腹がおおきくなることも、静脈瘤ができやすくなる原因のひとつです。妊娠中期から後期にかけて、妊婦さんのお腹は日に日に大きくなり、下半身の血管が圧迫されてしまいます。そして血管が圧迫されるとやはり血行が悪くなり、静脈内に血の塊ができてしまう原因になります。お腹が大きくなると、静脈瘤だけでなく、足がつりやすくなってしまったり、むくみの原因にもつながります。

産後の静脈瘤の対処法は?

静脈瘤は、お産がすめばほとんど自然に回復します。会陰や腟壁にできた場合でも、退院するときまでには、小さくなっています。妊娠中にあわてて治療をする必要はほとんどないといわれています。症状が改善されず処置が必要な場合は、静脈瘤の治療法としては、静脈血管に薬剤を注入して静脈瘤を消失させる方法や手術療法、またレーザー治療などがありますが、産婦人科ではなく、血管外科や、静脈瘤治療の経験が豊富な皮膚科または形成外科などと相談しましょう。

静脈瘤の大きな原因は、黄体ホルモンの分泌と大きくなっていくお腹です。ホルモンの分泌は自力でどうすることもできませんし、お腹が大きくなるのも自然なことです。それでも静脈瘤を予防・悪化させないためには、例え血液が塊やすい状態でも、子宮によって多少血管が圧迫されたとしても、さらさらと血液が流れるように、血流を良くしておくことが最大の対処法になります。

静脈瘤にならないように、またできてしまったら、できるだけひどくしないように、予防につとめることもだいじです。

★血流をさえぎるようなきつい下着やガードル、ジーンズなどはやめて、ゆったりした服を着る

★妊娠したら早めにサイズアップをする

★弾性ストッキングなどで、血流をサポートする

★体を冷やさない

★五本指のソックスなどで末梢の動きをよくして冷えを予防

★立ち仕事の時間を短くする

★足のマッサージをする

★軽い運動、歩き、ストレッチで血流をよくする   などです。

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まとめ

妊娠中の静脈瘤はよくあることです。見た目に症状がでるので気になる人が多いでしょうが、産後、自然と消えて治ることが多いので、あまり気にしすぎないようにしましょう。ただし、静脈瘤は、妊娠そのものが原因のひとつになるので、出産前に完全に治すことは難しいです。悪化すると皮膚の栄養状態が悪くなり色素沈着や潰瘍ができたり、血栓静脈炎を併発する人もいます。

一般的な治療には、包帯による圧迫療法、硬化療法、手術療法があります。出産後に改善する人がかなり多いので、妊娠中は主に圧迫療法という保存的な治療で様子を見て、産後の症状の改善具合でその後の治療方針を決めることが多いです。

しかし、足のつりやだるさ、むくみは生活の習慣に影響されることが多いです。悪化させないために、血流を良くする過ごし方を心がけましょう。

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